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アーベル群の圏はlocally finitely presentable categoryです

 

昨日気付いて衝撃だったんですが、

僕が人生で一番最初に買った圏論の本の著者はずっと名前が読めませんでした。

Ji......jiri ? ジリ? なんか i の上に✓が付いてて読み方が分からないし、

みたいなノリだったのですがその本の著者、なんと Jiří Adámek だったのです。

 

定義

locally smallでfiltered colimitを持つ圏 \mathcal{C}のobject c がfinitely presentable object (あるいはcompact object)であるとは,

 {\bf Sets}値関手  {\rm Hom}(c, -): \mathcal{C}\to {\bf Sets} がfiltered colimitを保存するときを言う. 

 

filtered colimitの定義についてはnLab参照 filtered limit in nLab

実はfiltered colimitはdirected colimit (つまり帰納極限)だと思うことができるので、directed colimitと思うことにしましょう。

 

このブログはアーベル群と腸についてのブログなので、アーベル群の圏 {\bf Ab}について考えてみます。アーベル群の場合圏論的な一般論から導かれることはもっと初等的に証明できることの方が多そうですが、アーベル群の圏について圏論的な何らかを考えるときには一般論が便利なこともありそうです。

 

命題

 {\bf Ab}において, 群がfinitely presentable objectであることと有限生成であることは同値. 

 

定義通り言い換えると次の主張になります。

 

命題

アーベル群 Aが有限生成   \Leftrightarrow  任意の帰納極限で書ける群\displaystyle \lim_{\longrightarrow}B_jについて

\displaystyle {\rm Hom}(A, \lim_{\longrightarrow}B_j)\cong \lim _{\longrightarrow}{\rm Hom}(A, B_j)

 

片方はホモロジー代数の本によく載っているように思います。

アーベル群 ( \mathbb{Z}-加群) で考える限り有限生成でよいですが,  R-加群では有限表示にする必要があります。 R-加群の場合を意識してできる限り圏論的な証明を心がけます。

 

証明

( \Rightarrow)

 Aが有限生成とすると完全列 \mathbb{Z}^{\oplus n}\to A\to 0があり, さらに

 \mathbb{Z}はNoether環だから完全列 \mathbb{Z}^{\oplus m}\to \mathbb{Z}^{\oplus n}\to A\to 0がある.

 \displaystyle B:=\lim _{\longrightarrow}B_jとすると, colimitの普遍性から縦の射が生える. 

 

 \displaystyle 0 \to \lim _{\longrightarrow}{\rm Hom}(A, B_j)\to \lim _{\longrightarrow}{\rm Hom}(\mathbb{Z}^{\oplus n}, B_j)\to \lim _{\longrightarrow}{\rm Hom}(\mathbb{Z}^{\oplus m}, B_j)

 \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \downarrow\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \  \downarrow\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \downarrow

 0 \to \ \ \ {\rm Hom}(A, B) \ \ \ \ \ \to \ \ \ \ \ {\rm Hom}(\mathbb{Z}^{\oplus n}, B) \ \ \ \ \to \ \ \ \ \ \ {\rm Hom}(\mathbb{Z}^{\oplus m}, B)

 

ここで右の2つの射は同型である: 

\displaystyle \lim _{\longrightarrow}{\rm Hom}(\mathbb{Z}^{\oplus n}, B_j)\cong \lim _{\longrightarrow}{\rm Hom}(\mathbb{Z}, B_j)^n\cong (\lim _{\longrightarrow}{B_j})^n \cong {\rm Hom}(\mathbb{Z}^{\oplus n}, B)

ここでfiltered colimitが有限極限と交換することを使ったことに注意する. 

five-lemmaにより左端の下向きの射も同型である. よって {\rm Hom}帰納極限と交換する. 

 

( \Leftarrow)

 Aのすべての有限生成部分加群たち \{A_i\}_{i\in I}とその間の包含射からなる帰納系を考えると Aはこれらの帰納極限として表せる. 

 \displaystyle {\rm Hom}(A, A) \cong {\rm Hom}(A, \lim _{\longrightarrow}A_i)

仮定から

 \displaystyle {\rm Hom}(A, A) \cong \lim _{\longrightarrow}{\rm Hom}(A, A_i)

帰納極限が交換する. Homの左完全性から右辺の帰納極限を与える帰納系も包含射によって与えられているから, 帰納極限の構成からcoconeを与える射  \displaystyle {\rm Hom}(A, A_i)\to\lim _{\longrightarrow}{\rm Hom}(A, A_i)単射になっていて \displaystyle \lim _{\longrightarrow}{\rm Hom}(A, A_i) \displaystyle {\rm Hom}(A, A_i) たちの和集合になっている.

(こういうチェックをちゃんと書こうとも思うので気が向いたら随時書き足していきたいです)

 

 \displaystyle {\rm Hom}(A, A) \ \ \ \cong \ \ \ \ \lim _{\longrightarrow}{\rm Hom}(A, A_i)

 \ \ \ \ \ \ \ \ \ \uparrow \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \nearrow\

 {\rm Hom}(A, A_i)

 

において上向きの射は A_i\hookrightarrow Aのpostcomposition, 斜めの射は埋め込みとする.  1\in {\rm Hom}(A, A)に対応する\displaystyle \lim _{\longrightarrow}{\rm Hom}(A, A_i)の元を像に含むような \displaystyle {\rm Hom}(A, A_i)\hookrightarrow \lim _{\longrightarrow}{\rm Hom}(A, A_i)を選べば, 

 1_A=(A\to A_i \hookrightarrow A)とでき, これは分裂射である.

よって, retractionが単射だから A\cong A_i.

 Aは有限生成である. 

 \square

 

はてなブログで図式が満足に書けないのがつらい......。

 

 {\bf Ab}におけるfinitely presented objectが有限生成(有限表示)アーベル群であることが分かりました。アーベル群は有限生成部分群たちの帰納極限で書けるので

次の定義の条件を満たすことが分かります。

 

定義

 \mathcal{C}がlocally finitely presentable categoryであるとは, 次の条件を満たすことを言う:

  1. 余完備である.
  2. finitely presentable objectからなる \mathcal{A}\subset \mathcal{C}があって、任意のobjectは \mathcal{A}のobjectのfiltered colimitで書ける.

 

個人的には locally presentable categoryの随伴関手定理なんかが使えると {\bf Ab}の反映的充満部分圏について考えるのが楽になったりならなかったりします。そういうのは真に圏論的なので初等的な議論から持ってくるのも難しいし、やはり圏論には圏論を、という感じがします。

 

こういう概念はこの本の一番最初に載っています。

 

Locally Presentable and Accessible Categories (London Mathematical Society Lecture Note Series)

Locally Presentable and Accessible Categories (London Mathematical Society Lecture Note Series)

 

 

ところで、例の僕が人生で最初に買った圏論の本なのですが、

それは高校の時にシンガポールに行って土産にシンガポール紀伊国屋で何らかを買ってこようと思い、当時の自分なりに一番意味不明なものを選んだ結果買われたものでした。もちろん当時は圏論という言葉も知らなかったです。

飛行機の中で読めるだけ読んで降りる頃にはわからなくなっていたので、そのまま放置され現在に至るわけですが、

その本とはこれです。

 

Abstract and Concrete Categories: The Joy of Cats (Dover Books on Mathematics)

Abstract and Concrete Categories: The Joy of Cats (Dover Books on Mathematics)

 

 

その数か月後に当時三年生だったFという人に出会い、圏論の話を聞くことになるとは夢にも思いませんでした。そのときにはこの本の存在はすっかり忘れ、マクレーンの圏論の基礎を買ったと思います。

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)

 

 

 

昨日から便秘がちでトイレに入って何もせず出てきます

最近は「アディダスの財布」が流行っていますが、僕は小6の時からずっとアディダスの財布です。

 

久しぶりに天気が良くて暖かいので歩くのに苦労しません。一方で日光があまりに照りつけているので、人の持っていたスマホの画面に反射した光が向かいの席の人の顔をずっと狙い撃ちしていてとてもつらそうでしだ。

 

こういう図は社会を感じます。

僕も体に反射する光に気を付けて今日一日を感謝して過ごしたいです。

可除群の構造定理

うーん。毎日記事を書いている人って、本当に天才ですね。

世間の人気ブロガーが毎日毎日カタカタと証明を打ち込んでいるのかと思うととても真似できないなあと思います。

 

ベタな話題というか、かなり標準的な話になってしまうのですが

あんまり可除群の構造定理の記事がないなあと思ったので、みんな知っていそうですがこの記事を書こうかなあと思いました。

 

実際「有限生成アーベル群の構造定理」で検索するとダーっと記事が出てきますが、

「可除群の構造定理」で検索してもWikipediaの記事が一番上に出てくる他は全部有限生成アーベル群の構造定理の記事です。 (完全に乗っ取られている) 

 

可除群の定義

一応定義を書いておきます。

定義

アーベル群 D可除群(divisible group)であるとは,

各元 a\in Dについて方程式 nx=aが任意の n\in \mathbb{Z}に対して解を持つときを言う.

 

可除加群の例

  •  \mathbb{Q}: これは定番です。
  •  \displaystyle \mathbb{Z}(p^{\infty})=\bigcup _{n}(1/p^n)\mathbb{Z}/\mathbb{Z}: Prüfer群と呼ばれる群です。
  •  \mathbb{Q}/\mathbb{Z}: よく出てきますが、実はこれはPrüfer群の直和  \mathbb{Q}/\mathbb{Z}=\oplus _{p}\mathbb{Z}(p^{\infty}) .
  •  \mathbb{T}=\mathbb{R}/\mathbb{Z}: これはねじれ部分とねじれなし部分の直和に分けることができます。ねじれ部分は代表元が有理数の部分つまり \mathbb{Q}/\mathbb{Z}で、ねじれのない部分は代表元が無理数の部分で実は\mathbb{Q}の直和になります。

こういう事実を含む一般的な定理があって可除群は分類されています。

可除群の構造定理

定理

可除群 D

 \displaystyle D=\mathbb{Q}^{\oplus I}\oplus \bigoplus _{p:{\rm prime}}\mathbb{Z}(p^{\infty})^{\oplus I_p}

 と分解される. 

証明のために次の事実を使います。

  • 可除であることと移入的であることは同値。
  • 移入的な部分群は直和因子である。
  • ねじれ群は p-ねじれ部分(位数がp冪の元全体)の直和に分かれる。

「移入的  \Rightarrow 可除」は任意の R-加群で正しいですが、「可除  \Rightarrow 移入的」はDedekind環上で正しい事実です。

 

定理の証明

可除群 Dのねじれ部分 tDも可除なので直和因子であり,  D=tD\oplus Eとかける.  tD=\oplus _p T_p p-ねじれ部分に分解する.

1. ねじれ部分

任意の元 a_0\in T_pに対して S_m=\{a_0, a_1, a_2, \cdots  a_m\, | \, pa_{n+1}=a_n\} \, (m=1, 2, \cdots )で生成される部分群 \langle S_m\rangleを考える. 

 a_0の位数を p^rとするとき,  S_mの和で生成される部分群  \bigcup _m \langle S_m\ranglePrüfer群  \mathbb{Z}(p^{\infty}) と同型である. 

実際  \bigcup _m \langle S_m\rangle \to \mathbb{Z}(p^{\infty})

 a_m\mapsto \overline{1/p^{r+m}}によって定めればこれは同型である. 

 T_pの部分群であって \mathbb{Z}(p^{\infty})の直和であるようなもの全体を \mathcal{S}とし,

 A\leq A' \ \Leftrightarrow \ A A'の直和因子」によって順序を定めると,

各元 a\in T_pに対して上の事実からそれを含む \mathbb{Z}(p^{\infty})と同型な部分群が存在して \mathcal{S}は空でなく, また任意の増大列 {A_i}には和集合を取ることで上界が存在するから, Zorn補題によって \mathcal{S}には極大元 Aが存在する.

ここで Aは可除群 \mathbb{Z}(p^{\infty})の直和であって可除であるからこれも直和因子.  T_p\cong A\oplus Bと表せる. 

 Bの各元 bについて bを含むような \mathbb{Z}(p^{\infty})と同型な部分群 B_0があるから,  A\oplus B_0 \mathcal{S}に含まれ,  Aの極大性から B_0=0.

 B=0でなければならない. 

こうして T_p \mathbb{Z}(p^{\infty})の直和でかける. 

2. ねじれなし部分

証明はねじれ部分と類似である.  Eの各元 a_0について,

 nx=a_0は任意の n\in \mathbb{N}で解を持つ. また Eがねじれを持たないから解 xは一意に決まるから,  E\to \mathbb{Q}; \ x\mapsto 1/nはwell-definedであって, しかも同型であることが確かめられる.

上と同じように Eの部分群であって \mathbb{Q}の直和であるようなもの全体を \mathcal{S}とし,

 A\leq A' \ \Leftrightarrow \ A A'の直和因子」によって順序を定めると, その極大元は Eと一致する. 

  \square 

 

あともう少しだけ。

さらにこの直和の濃度がそれぞれ一意的であることも示すことができます。これはベクトル空間の次元の一意性と同じ証明です。

実際この直和の濃度を独立集合(independent set)の濃度と考えることができるからです。

 

定義

アーベル群 Aの部分集合 \{x_i\}_{i\in I}が独立集合であるとは, 任意の m個の元の線形結合について

 \displaystyle \sum _{k=1}^{m} n_kx_k=0 \ \ \Leftrightarrow \ \ n_k=0 \ for \, all \ 1\leq k\leq m

を満たすことを言う. 

 

ねじれなし元からなる独立集合のうちで極大なものの濃度は、前回の記事で書いたねじれランクと呼ばれます。一般に極大な独立集合の濃度をアーベル群のランクと言います。

 

この記事はまた編集するかもしれないので、一応暫定版ということにします。

 

 実は可除群の構造定理の証明をちゃんと読んだことがなかったのでブログはいい機会になります。皆さんもぜひブログを書いてみてください。(これ誰に言っているのか分からないけど)

 

参考文献は例によってFuchsです。

Abelian Groups (Springer Monographs in Mathematics)

Abelian Groups (Springer Monographs in Mathematics)

 

 

 

 

下痢をしないよう湯たんぽでお腹を暖めています

おはようございます。僕の夢は「腸内」で検索した腸に悩める人々の検索欄をこのブログで制圧することです。

 

なぜお腹が冷えるとお腹が痛くなると思いますか?

 

答えはGoogleで👏👏👏

 

 

 

携帯からも記事が書けるのかなあと思ってテストしたら案の定書けました。せっかくなので一句

 

 

冬の雨

音に冷え入る

ガラス越し

 

 

 

もうしません。

ランク1のねじれなし加群の分類

 

 

最近はアーベル群の本を読むのが楽しいし、疲れた時にアーベル群の記事を書くようなブログにしようと思います。

というか最近よくない気持ちでこういう本を買いました。

 

Abelian Groups (Springer Monographs in Mathematics)

Abelian Groups (Springer Monographs in Mathematics)

 

 

値段はこんな感じですね。

節約生活をします。

 

 

 

さて、アーベル群についてのことを最初に調べたのは半年ほど前ですが、そこでわりと心がひかれたのはねじれなし加群(torsion-free module)だと思います。

(注: ここで加群とは\mathbb{Z}加群のことを指します。だからすべてのねじれなし加群は平坦加群。やったぜ。)

 

というかねじれなし加群の例なんてそのときは\mathbb{Z}とその直和と\mathbb{Q}くらいしか知らなかったので、分類と言われてもそんなにピンと来ませんでしたが、実際に分類をしてみると「確かに」という気持ちになりますね。

 

細かいことは後回しにして、まず

 Aがランク1のねじれなし加群  \Leftrightarrow  \mathbb{Z}\subset A\subset \mathbb{Q}

だと思うことができます。

 

まずは \mathbb{Z} \mathbb{Q}以外の例を挙げてみましょう。

 

例えば  \mathbb{Z}[1/p]

これは多項式環の不定元に 1/pを代入したものですが、その元を通分してもっと明示的に書くと \{m/p^n \, | \, n,m\in \mathbb{Z}\}ということになります。1が pで無限回割れるような群ということですね。これは確かにねじれなし加群です。

 

じゃあ、有限回割れるものとかそういうのは?という気持ちになりますが、

たとえば1が pで2回だけ割れるような群  (1/p^2) \mathbb{Z}=\{m/p^2 \, | \, m\in \mathbb{Z}\} を考えてみると

 \times p^2: (1/p^2) \mathbb{Z}\to \mathbb{Z} は同型射なので、残念ながらこれはただの \mathbb{Z}ですね。残念。

 

とするとほかに脳死状態で思いつくのは

 \mathbb{Z}[1/6] =\mathbb{Z}[1/2, 1/3] とか  \mathbb{Z}[1/2, 1/5, 1/13, 1/17, 1/107] とか、まあこういうやつらもねじれなし加群です。

あとは各素数で無限回割れるか割れないかみたいな感じの群くらい。なんかあんまなくね?という気がしてくるわけですが、

よく考えるともう少しありそうな気もしてくるわけです。

 

有限回割れるものを除いたけど、有限回割れる素数が無限個とかあればそれなりに何らかができるのでは?

たとえば1がすべての素数  2, 3, 5, 7, \cdotsで1回ずつ割れるような群と \mathbb{Z}

さっきみたいに同型になるかというと、うまく同型射が作れないので違う群かもしれないという風に思えてきます。

そう考えると、なんかいろいろあるのではないかという気もしてくるわけです...... 。

 

 

あっ、この記事は \TeX がちゃんと仕事をするかどうかのテストのつもりで書いています。

いや、さっそく仕事してます。いいロゴです。

 

 Abel群のランク

せっかくなのでもう少し書きます。そもそもAbel群のランクという言葉ってどれくらい普及しているんでしょうか。僕はずっと有限生成Abel群の\mathbb{Z}の右肩に乗っている数くらいに思っていたし、\mathbb{Q}は無限生成だからランクは無限、と思っていました。

でもここでいうランクはそういう定義ではなく、ねじれなしランクと呼ばれるものです。これで言うと\mathbb{Q}のランクは1です。

 

定義 

ねじれなし加群Aの(ねじれなし)ランクとは {\rm dim}_{\mathbb{Q}} (A\otimes \mathbb{Q}) のことである。

 

注: これだとねじれなし加群専用の定義ですが、「\mathbb{Z}上独立な部分集合のうち極大なものの個数」という風な同値な定義をすれば、ねじれがあっても定義できます。

(たとえばそういう風に定義するときは、一般にねじれのある加群に対して「極大な独立集合のうちでねじれのない部分の濃度」というのがねじれなしランクのことです。)

 

特徴付け

 Aがねじれなし加群であることの特徴付けとして、

 「任意の  x\in A に対して  \mathbb{Z}\to A; 1\mapsto x がいつも単射

というものがあります。

 つまりねじれなし加群は必ず \mathbb{Z}を含みます。

 A がねじれなし加群であることの特徴付けとして、

 \mathbb{Q}テンソルする射  A\to A\otimes \mathbb{Q}; \, x\mapsto x\otimes 1単射

というものがあります。 \mathbb{Q}テンソルしたときに消える部分はちょうどねじれ部分と一致しているのでこうなりますね。つまりランク1のねじれなし加群 \mathbb{Q}の部分群です。

 さらに \mathbb{Q}の部分群は必ずねじれがありません。つまり

 Aがランク1のねじれなし加群  \Leftrightarrow  \mathbb{Z}\subset A\subset \mathbb{Q}

ということになります。

 

指標(characteristic)

ここで指標というものを導入してみます。指標群の指標とは違います。

まず a\in A p-高さ h_p(a)とは p^k x=aという方程式が Aに解を持つような kの最大値のことです。

最大値がないときは高さ \inftyと定めます。

で、これをダーっと並べます。

 \chi (a):=(h_2(a), h_3(a), h_5(a), h_7(a), \cdots )

この列を指標と呼びます。

これを使ってランク1のねじれなし加群を分類していきます。

 ここで指標は各元に対して定まっているものですが、

 Aがランク1のねじれなし加群の場合 \mathbb{Z}を含むのでとくに1という元があり、

さらに \mathbb{Q}にも埋め込まれるので、1がpで何回割れるかさえ分かってしまえば他の元 q/r\in A\subset \mathbb{Q} pで何回割れるかというのは全部わかってしまいます。

つまり,  \chi (1)のみを考えれば Aの任意の元の指標を考えられるので、これだけを考えて分類することにしましょう。ランク1の場合に限り、 \chi(1) Aの指標と呼ぶことにします。

 

具体的な指標を見てみましょう。指標は 2, 3, 5, 7 ...と並べていくことにします。

  •  \mathbb{Z}  の指標は   (0 , 0, 0, 0, 0, \cdots)
  •  \mathbb{Z}[1/2]  の指標は   (\infty , 0, 0, 0, 0, \cdots)
  •  \mathbb{Z}[1/3, 1/5]  の指標は   (0, \infty, \infty, 0, 0, \cdots)
  •  \mathbb{(1/9)Z}  の指標は   (0, 2, 0, 0, 0, \cdots)
  •  \mathbb{Q}  の指標は   (\infty ,\infty ,\infty ,\infty ,\infty , \cdots)

 

型(type)

2つの指標が与えられたとき、それらの指標を持つランク1のねじれなし加群が同型になるのはどのようなときでしょうか。指標の全体をうまく同値関係で割っていきたい気持ちが生えます。

今挙げた例の中で \mathbb{Z} (1/9)\mathbb{Z}は同型でした。

だから

 (0, 0, 0, 0, 0, \cdots)\sim (0, 0, 2, 0, 0, \cdots)

つまり各項の差が有限だったら同値という風に定めたいわけですが、

さっき例を考えたときに何やらほかにもありそうな気がしたわけでした。

次のような群を考えてみます。

 \displaystyle A:= \bigcup _{p: {\rm prime}} \frac{1}{2\cdot 3\cdot 5\cdot \cdots \cdot p}\mathbb{Z}

1は各素数で1回ずつ割れます。つまり指標は

 (1, 1, 1, 1, 1, \cdots )

しかし、こういう群は \mathbb{Z}と同型ではありません。(同型射 A\to \mathbb{Z}があるとすると1に送られるような Aの元があるから、任意の pに対して

 px=1という方程式が \mathbb{Z}で解を持つことになってしまいます。) 

 

 こういうのをうまく加味して次のような同値関係を考えます。

 

定義

2つの指標 (k_1, k_2, \cdots ) (l_1, l_2, \cdots )について、

有限個の項だけが異なり、しかもその差が有限であるとき 

同値であると定義する。

 

この同値類をと言います。

 

おわり。

 

分類が終わりました。

 

まず、

命題

2つのランク1ねじれなし加群が同型  \Leftrightarrow 2つの群の型が一致する。

 

適当な証明

( \Rightarrow)

ランク1のねじれなし加群を標準的に \mathbb{Q}の部分群だと考えることにする. 

ランク1のねじれなし加群の間の射は1の送り先を決めることで完全に決定されることに注意する. 実際, ランク1ねじれなし加群の間の射 A\to B

1が xに送られるなら,  q/r \in A \subset \mathbb{Q} ry=qxを満たす y\in Bに送られるが,  Bにねじれ元がないからこのような方程式の解は存在すればuniqueである. 

2つのランク1ねじれなし加群 A, Bが同型でその間の射は  f: 1\mapsto q/rで与えられるとすると全単射性から

 p^kx=1 Aで解を持つ  \Leftrightarrow \ p^kx=q/r Bで解を持つ

ということが確かめられる. 

つまり( A, Bにおける指標をそれぞれ  \chi_A, \chi _Bと書くとき)

 \chi_A(1)=\chi_B(q/r)

である.  \chi_B(q/r)の指標と \chi_B(1)の指標の差は q/rの素因子の分しかなく, 有限項の有限の差しかない。

よって  \chi _A(1)\sim \chi_B(1)

( \Leftarrow)

上でやったことを逆にたどればよい. 

 (k_1, k_2, \cdots )\sim (l_1, l_2, \cdots )

ならその差  l_i-k_i を与える素数は有限個だからそれを  p_1, \cdots ,p_m とする. 

またその差は有限だから, その差をそれぞれ d_1, \cdots , d_mとする. 

 1\mapsto p_1^{d_1}\cdot  \cdots \cdot p_m^{d_m}

は同型を与える. (確かめたらわかる)

 \square

 

次の主張で分類は決着が付きます。

 

命題

任意の指標について、その指標を実現するようなランク1のねじれなし加群が存在する。

 

証明

指標 (k_1, k_2,\cdots )が与えられたとき, (素数 p_iに対応する項を k_iと書くことにする.)

 \mathbb{Q}の部分集合で次のようなものをとる: 

 S:= \{ p^{-l_i}_i \, | \, p_i: {\rm prime}, \, l_i\leq k_i\}

 S \mathbb{Z}生成される群は 1を含み, 

 1の指標がもとのものと一致することも確かめられる. 

 \square

 

最初に例を並べたときは何やら複雑なのかと思ってしまいますが、ちゃんと考えると大したことはなかったという感じですね。

こういうしょーもない話題をしょーもあるかのように書けるのはブログの素晴らしいところだと思います。

 

ランク2

一方でランク2になった瞬間に分類問題は未解決で、よくわからない例がたくさんあります。一瞬ランク1の群の直和に書けるのではないか?と思ってしまいますが、そんなことはありません。

「有限ランクのねじれなし加群の直和分解について」という題の本もありますし、読んでいきたいですね。

 

Direct Sum Decompositions of Torsion-Free Finite Rank Groups (Chapman & Hall/CRC Pure and Applied Mathematics)

Direct Sum Decompositions of Torsion-Free Finite Rank Groups (Chapman & Hall/CRC Pure and Applied Mathematics)

 

 

 

 

 

 

人々、初めまして

おはようございます。今日からブログを始める腸内環境異常者です。

 

明日にはやめていると思いますが、やはりこの一瞬が大切だと思いませんか?

 

話をするとしたら、

その日に使ったウォシュレットの話や、

(ウォシュレットに付いている音姫などの)音楽の話や、

(ウォシュレットを描いた)絵画の話や、

(より見やすい「お手洗い」の文字を目指した)書道の話や、 

(より座りやすいウォシュレットのクラスを見つけるための)数学の話になると思います。

 

ウォシュレットも音楽も数学も肌で温かさを感じたいですね。

 

だから「肌で温かさを感じる」、ことをモットーに今日からはウォシュレットに座って、暇になったらブログを書いていきたいと思います。

 

そうすればいつか世界は平和になると思います。

 

 

 

 

 

 

実は僕、

ウォシュレットに興味ありません。

 

お腹痛い。トイレ行く。

人間は、以上。